
クレアチニン上昇・eGFR(腎機能)が低下していると言われたら
健康診断の結果票に「クレアチニン:H」「eGFR:要注意」と書かれていても、体に何も感じないことがほとんどです。「疲れやすいのは年齢のせいだろう」「のどが渇くのは暑いからだろう」と、別の理由に置き換えてしまいがちです。
ところが腎臓は、機能がかなり低下するまで自覚症状がほぼ現れない臓器です。気づいたときには取り返しのつきにくい状態になっていた、というケースも少なくありません。
クレアチニンやeGFRの異常は、腎臓からの初期サインとして受け止めておくことが大切です。
こんな症状・経験はありませんか?
- 健康診断でクレアチニンが高い、またはeGFRが低いと指摘された
- 夜中にトイレに起きることが増えた、または逆に尿の量が減った気がする
- 足首やすねがむくみやすくなった、靴がきつく感じる
- 高血圧・糖尿病・痛風(高尿酸血症)などの持病がある
- 健診で毎回ひっかかっているが、受診せずにそのままにしている
思い当たることが一つでもある方は、腎機能を一度きちんと確認しておくことをおすすめします。特に高血圧や糖尿病がある方は、腎臓へのダメージが進みやすいため定期的なチェックが欠かせません。
クレアチニン・eGFRとは?数値の見方

- クレアチニン
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クレアチニンは筋肉がエネルギーを使うときに生じる老廃物で、腎臓でろ過されて尿として排出されます。腎臓のろ過機能が低下すると、クレアチニンが血液中にたまって数値が上昇します。
基準値はおおむね男性で1.07 mg/dL以下、女性で0.79 mg/dL以下(施設によって多少異なります)。筋肉量の多い方は数値がやや高めに出ることがあり、体格差を考慮して評価することが重要です。
- eGFR(推算糸球体ろ過量)
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eGFRは、クレアチニン・年齢・性別から計算される「腎臓がどれくらいの速さで血液をろ過できているか」を示す推定値です。腎機能の全体像を把握するうえで、クレアチニン単体よりも実態に近い指標とされています。
60 mL/min/1.73㎡以上が正常の目安で、45〜59は「軽度〜中等度低下」、30〜44は「中等度〜高度低下」、15〜29は「高度低下」、15未満は「末期腎不全」に相当します。eGFRが60を下回り3か月以上続く場合は、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。
放っておくとどうなる?

腎臓の機能は、一度失われると基本的には元に戻りません。これが腎臓の異常を早めに対処する最大の理由です。
慢性腎臓病が進行すると、最終的に「透析(人工透析)」が必要になる可能性があります。透析は週3回・1回4〜5時間の治療を生涯続けることになり、生活への影響は非常に大きくなります。日本では現在約35万人が透析を受けており、その主な原因疾患は糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎・高血圧性腎硬化症の3つで全体の大半を占めています。
また、腎機能が低下すると血圧が上がりやすくなり、動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中のリスクも高まります。腎臓と心臓・血管の健康は密接につながっており、循環器内科の視点からも見逃せない問題です。
一方で、慢性腎臓病は早期の段階であれば、生活習慣の改善や適切な治療によって進行を大幅に遅らせることができます。「少し数値が悪い」という段階こそ、行動の効果が最も出やすいタイミングです。
考えられる主な疾患・状態

- 慢性腎臓病(CKD)
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クレアチニン高値・eGFR低値が3か月以上持続する状態を慢性腎臓病(CKD)といいます。
原因はさまざまですが、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を背景に発症することが多く、進行は緩やかなため自覚症状が出にくいという特徴があります。早期発見・早期介入が進行防止の鍵です。
- 糖尿病性腎症
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糖尿病の三大合併症のひとつで、高血糖による腎臓の細い血管へのダメージが蓄積して腎機能が低下します。透析になる原因疾患の中で最も多く、糖尿病と診断されている方は定期的な腎機能チェックが必要です。
初期は尿タンパクの増加から始まることが多く、クレアチニン・eGFRの異常は比較的進行してから現れます。
- 高血圧性腎硬化症
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長年の高血圧によって腎臓の血管が硬くなり、ろ過機能が低下する状態です。高血圧の治療が不十分なまま年齢を重ねると、気づかないうちに腎機能が低下していることがあります。
- 慢性糸球体腎炎
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腎臓の糸球体(ろ過装置)に慢性的な炎症が起きている状態です。尿タンパク・血尿が続く場合に疑われます。若い世代でも発症することがあり、健診の尿検査で最初に異常が見つかるケースも少なくありません。
- 痛風・高尿酸血症による腎障害
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尿酸値が高い状態が続くと、腎臓に尿酸の結晶が蓄積して腎機能が低下することがあります(痛風腎)。関節の痛みがない高尿酸血症でも、腎臓への影響は静かに進行していることがあります。
- 急性腎障害(AKI)
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脱水・感染症・造影剤・鎮痛薬などの影響で、腎機能が短期間に急激に低下することがあります。早期に対処すれば回復が期待できるため、腎機能の急激な悪化に気づいた場合は速やかな受診が必要です。
当院の検査・治療
- 血液検査(腎機能・電解質・尿酸・血糖・脂質)
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クレアチニン・eGFRに加えて、BUN(尿素窒素)・電解質(カリウム・ナトリウム・リン)・尿酸・血糖・HbA1c・脂質など、腎機能に関わる項目を総合的に調べます。腎臓がどの程度ダメージを受けているか、また原因となっている可能性のある疾患を合わせて評価します。
- 尿検査(尿タンパク・尿潜血・尿沈渣)
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尿タンパクは慢性腎臓病の早期サインとして非常に重要です。クレアチニン・eGFRが正常範囲でも、尿タンパクが持続する場合はCKDと診断されます。尿潜血(血尿)は糸球体腎炎や尿路系の問題を示すことがあります。血液検査と合わせて総合的に判断します。
- 腹部エコー検査(超音波検査)
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当院では腹部エコー検査を院内で行えます。腎臓の大きさ・形・内部構造を視覚的に確認できるため、腎萎縮・水腎症・腎臓の腫瘤などの発見に役立ちます。腎機能低下の原因を調べるうえでも、エコー検査は有用な情報を提供します。
- 生活習慣の指導・薬物療法
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塩分制限・タンパク質のとり方・水分管理・血圧コントロールなど、腎臓を守るための具体的な生活指導を行います。降圧薬(特にARBやACE阻害薬)は腎保護効果があるとされており、必要に応じて処方します。糖尿病・高血圧・脂質異常症など原因疾患の治療も並行して行います。
- 専門医療機関への紹介
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eGFRが45を下回っている場合や、急速に腎機能が悪化している場合、尿タンパクが多量の場合は、腎臓内科の専門医療機関にご紹介します。紹介後も、かかりつけ医として日常的な管理をサポートします。
当院へご相談ください
「健診でクレアチニンが高いと言われたけど、体の調子は普通だし……」という方が最も多い受診パターンです。腎臓は症状が出にくいからこそ、数値の異常を見逃さないことが重要です。
川崎グランハートクリニックでは、土日・祝日も毎日診療しており、平日に時間が取りにくい方でも受診しやすい体制を整えています。血液検査・尿検査・腹部エコー検査は院内で対応しており、腎機能の評価から原因疾患の特定まで、一つのクリニックでひと通り確認できます。
「高血圧や糖尿病があって腎臓が心配」「毎年同じ指摘を受けているが、どうすればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご来院ください。数値の意味を丁寧にご説明しながら、今できることを一緒に考えます。
