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HDL・LDLコレステロールが異常と言われたら(脂質異常症)

HDL・LDLコレステロールが異常と言われたら(脂質異常症)

健康診断の結果票を見て、「LDL:H」「HDL:L」という表示に気づいても、体にはまったく自覚症状がないため、「コレステロールが高いのは体質だから仕方ない」「薬を飲むほどでもないだろう」と、そのまま次の健診まで放置してしまう方が多くいます。

ただ、コレステロールの異常は「症状がないから安全」ではありません。血管の中では静かに、しかし確実に変化が進んでいます。異常を指摘された段階で一度きちんと評価しておくことが、将来の大きな病気を防ぐ近道です。

こんな症状・経験はありませんか?

  • 健康診断でLDLコレステロールが高い、またはHDLコレステロールが低いと言われた
  • 食事が外食・揺れ物・脂っこいものに偏りがちで、運動習慣がほとんどない
  • 親や兄弟にコレステロールが高い人がいる、または心筋梗塞・脳梗塞になった家族がいる
  • 中性脂肪・血圧・血糖のいずれかも同時に異常と指摘されている
  • 以前から繰り返し指摘されているが、受診せずにそのままにしている

一つでも当てはまる方は、脂質の状態を正確に把握しておくことをおすすめします。特に家族歴がある場合や、複数の異常が重なっている場合は、リスクが重なりやすいため早めの受診が大切です。

HDL・LDLコレステロールとは?数値の見方

コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となる脂質で、体に欠かせない成分です。ただし、血液中で運ばれる際のかたち(リポタンパク)によって、体への影響がまったく異なります。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

LDLはコレステロールを肝臓から全身の細胞へ運ぶ役割を担っています。血液中に多すぎると血管壁に入り込んで蓄積し、動脈硬化の原因になります。「悪玉」と呼ばれるのはこのためです。

基準値は140 mg/dL未満が正常で、120〜139 mg/dLは「境界域高値」、140 mg/dL以上が「高LDLコレステロール血症」と診断されます。ただし、糖尿病や高血圧・喫煙などのリスク因子がある場合は、より厳しい管理目標(100 mg/dL未満など)が設定されることもあります。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

HDLは血管壁に蓄積したコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。動脈硬化を防ぐ方向に働くため「善玉」と呼ばれ、値が高いほど血管にとって良好な状態とされます。

基準値は40 mg/dL以上。40 mg/dL未満は「低HDLコレステロール血症」と診断されます。HDLが低い状態は、LDLが高い場合と同様に動脈硬化のリスクを高めます。

non-HDLコレステロール

LDLだけでなく、中性脂肪を多く含むVLDLなどの「悪玉」全体を反映する指標です。

中性脂肪が高い方ではLDLより正確に動脈硬化リスクを評価できるとされており、近年注目されています。基準値は170 mg/dL未満です。

放っておくとどうなる?

LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管壁の内側に「プラーク」と呼ばれる脂質の塊が蓄積していきます。プラークが大きくなると血管が狭くなり(動脈硬化)、最終的には破裂して血の塊(血栓)が生じます。この血栓が心臓の血管を詰まらせると心筋梗塞、脳の血管を詰まらせると脳梗塞になります。

怖いのは、この過程がまったく無症状で進行するという点です。プラークが破裂するまで何の前触れもないことが多く、初めての症状が心筋梗塞の発作、という方も少なくありません。

一方で、HDLが低い状態はこのコレステロールの「回収」がうまくいっていないことを意味します。LDLが正常範囲であっても、HDLが低ければ同様に動脈硬化のリスクは高まります。LDLだけを見て安心するのではなく、HDLも含めた総合的な評価が必要です。

脂質異常症は、早期の段階であれば食事・運動・必要に応じた薬物療法によって十分にコントロールできます。「症状がないうちに手を打てる病気」として捉えていただければ、受診のハードルも下がるはずです。

考えられる主な疾患・状態

原発性(一次性)脂質異常症

生活習慣や遺伝的な体質が主な原因で、LDLコレステロールの高値・HDLの低値が生じる状態です。食事内容・運動不足・肥満・喫煙・飲酒が大きく関与します。最も一般的なタイプです。

家族性高コレステロール血症(FH)

遺伝子の異常によってLDLコレステロールが著しく高くなる疾患で、生活習慣に関係なく発症します。LDLが180 mg/dL以上と非常に高い場合や、若いうちから高値が続いている場合は疑われます。アキレス腱の肥厚や皮膚の黄色腫(黄色い脂肪の塊)がみられることもあります。適切な薬物療法が必要で、早期診断が重要です。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが不足すると脂質代謝が低下し、LDLコレステロールが上昇します。疲れやすさ・むくみ・寒がり・体重増加といった症状を伴うこともありますが、無症状の場合も多く見られます。生活習慣に問題がないのにコレステロールが高い場合は、甲状腺のチェックも行います。

糖尿病・インスリン抵抗性

血糖値のコントロール不良やインスリン抵抗性がある状態では、LDLの小型化・HDLの低下・中性脂肪の上昇が同時に起こりやすくなります。これを「糖尿病性脂質異常症」と呼ぶこともあり、特に心血管リスクが高まります。

腎疾患・肝疾患

ネフローゼ症候群や慢性腎臓病ではLDLが上昇しやすく、肝臓の機能低下がある場合もコレステロール代謝に影響します。他の疾患の治療中に脂質の異常が見つかった場合は、原因疾患の確認も合わせて行います。

薬剤性

一部の降圧薬・ステロイド・経口避妊薬などがコレステロール値を変動させることがあります。内服薬がある方は、薬の影響も含めて評価することが大切です。

当院の検査・治療

血液検査(脂質4項目+関連指標)

LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪・総コレステロールの脂質4項目を基本に、non-HDLコレステロール・血糖・HbA1c・甲状腺ホルモン(TSH)・肝機能・腎機能なども必要に応じて調べます。「なぜ数値が高いのか」という原因の探索まで含めて、総合的に評価します。

動脈硬化の評価(ABI・脈波検査)

脂質異常が長期間続いている場合や、他のリスク因子が重なっている場合は、すでに動脈硬化が進んでいないかを調べる検査を検討します。ABI(足首・上腕の血圧比)や脈波速度(PWV)の測定によって、血管の硬さや狭窄の有無を確認できます。

生活習慣の指導(食事・運動・禁煙)

脂質異常症の治療の基本は生活習慣の改善です。飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の多い食品を控えること、食物繊維・魚・大豆製品を積極的にとること、有酸素運動を週150分程度行うことなど、患者さんの生活スタイルに合わせた具体的な提案をしています。禁煙はHDLを上昇させる効果もあるため、喫煙している方には禁煙外来もご案内しています。

薬物療法(スタチン・エゼチミブなど)

生活習慣の改善だけでは目標値に達しない場合や、リスクが高い方には薬物療法を行います。LDL低下に対してはスタチン系薬が第一選択で、エゼチミブを組み合わせることもあります。家族性高コレステロール血症など薬効が強く必要な場合は、より強力な治療薬を検討します。HDL低値・中性脂肪高値に対してはEPA製剤やフィブラート系薬が使われることもあります。

当院へご相談ください

「LDLが少し高いと言われたけど、特に症状もないし様子を見ていた」という方が最も多い受診パターンです。コレステロールの異常は自覚症状がないからこそ、「気づいたときに動く」ことが何より大切です。

川崎グランハートクリニックでは、土日・祝日も毎日診療しており、平日に時間が取りにくい方でも受診しやすい環境を整えています。循環器内科を専門とするクリニックとして、脂質異常症と心臓・血管疾患の関係を総合的な視点で評価できることが当院の強みのひとつです。血液検査から動脈硬化の評価まで、一つのクリニックでひと通り確認できます。

「家族に心臓病や脳梗塞になった人がいて心配」「薬を飲むかどうか迷っている」「生活習慣をどう変えればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご来院ください。数値の意味をわかりやすくご説明しながら、一緒に対策を考えます。