
空腹時血糖・HbA1c(血糖値)が高いと言われたら
健康診断の結果を見て、「空腹時血糖」や「HbA1c」の欄に「H」や「要再検査」の文字が並んでいた。
そんな方が年々増えています。とはいえ、体に感じる変化がないことがほとんどなので、「次の健診まで様子を見ればいいか」と後回しにしてしまう方も少なくありません。
ただ、血糖値の異常は「今は大丈夫」が積み重なって、気づいたときには取り返しのつかない状態になっていることがある病気のひとつです。
早い段階で一度きちんと調べておくことが、その後の生活を大きく左右します。
こんな症状・経験はありませんか?
- 健康診断で「空腹時血糖」や「HbA1c」が基準値を超えていた、または「要再検査」と書かれていた
- 以前より疲れやすくなった、または午後になるとひどく眠くなる
- 水をよく飲むようになった、トイレの回数が増えた気がする
- 親や兄弟に糖尿病の人がいる
- 食事や運動など生活習慣が乱れがちで、体重が増えてきた
思い当たることが一つでもある方は、早めにご相談ください。
これらはいずれも血糖値の異常と関わりやすいサインです。特に家族歴がある場合は、自覚症状がなくても定期的なチェックをおすすめします。
空腹時血糖・HbA1cとは?それぞれの意味
- 空腹時血糖
-
食事をしていない状態(通常8時間以上の絶食後)に測定した血糖値です。
健康な方であれば食後に上がった血糖値はインスリンの働きで速やかに下がりますが、インスリンの分泌が不十分だったり、効きが悪くなっていたりすると高い状態が続きます。
基準値はおおむね70〜109 mg/dL。110〜125 mg/dLは「境界型(糖尿病予備軍)」、126 mg/dL以上が複数回確認された場合は「糖尿病型」と判定されます。
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
-
赤血球の中にあるヘモグロビンに、ブドウ糖がどれくらい結合しているかを示す数値です。
過去1〜2か月の血糖値の平均的な状態を反映するため、一時的な食事や体調の影響を受けにくく、血糖コントロールの評価指標として非常に重要視されています。
基準値は5.5%未満が目安です。5.6〜5.9%で「正常高値」、6.0〜6.4%で「境界型」、6.5%以上が複数回確認された場合に「糖尿病型」と判断されます。空腹時血糖と組み合わせて総合的に評価します。
放っておくとどうなる?

血糖値の異常を指摘されても、体に何も感じないからといって放置し続けると、じわじわと血管がダメージを受けていきます。糖尿病が怖いのは、病気そのものよりも合併症です。
代表的な合併症として、「糖尿病性網膜症(視力低下・失明)」「糖尿病性腎症(腎機能低下・透析)」「糖尿病性神経障害(手足のしびれ・感覚低下)」が知られており、これらは「三大合併症」とも呼ばれます。
いずれも進行するまで自覚症状が出にくく、気づいたときにはかなり進んでいたというケースが珍しくありません。
また、高血糖の状態が続くと動脈硬化が促進されるため、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。心臓や血管への影響という点では、内科・循環器内科と密接に関わる問題でもあります。
一方で、境界型(糖尿病予備軍)の段階で生活習慣を見直すことができれば、糖尿病の発症を防いだり、遅らせたりすることは十分に可能です。「数値が少し高いだけ」という段階こそ、最も行動の効果が出やすいタイミングです。
考えられる主な疾患・状態

- 糖尿病(2型)
-
日本で最も多い糖尿病のタイプで、生活習慣や遺伝的な要因によってインスリンの分泌・効きが低下した状態です。長年にわたる食べ過ぎ・運動不足・肥満・ストレスなどが積み重なって発症することが多く、中高年に多いですが近年は若い世代にも増えています。初期は無症状で、健診ではじめて気づくケースが大半です。
- 境界型糖尿病(糖尿病予備軍)
-
空腹時血糖やHbA1cが「正常」と「糖尿病」の間にある状態です。この段階では自覚症状がほとんどなく、放置すると約10年以内に相当数の方が糖尿病に移行するといわれています。逆にいえば、生活習慣の改善によって正常に戻すことも可能なタイミングです。
- 1型糖尿病
-
自己免疫の異常などにより、インスリンを分泌する膵臓の細胞が壊れてしまうタイプです。子どもや若い年代に多く、インスリン注射が必須となります。健診で偶然発見されることもあります。
- インスリン抵抗性・メタボリックシンドローム
-
内臓脂肪の蓄積によってインスリンの効きが悪くなり、血糖・血圧・脂質のいずれかが異常値を示す状態です。それぞれの数値が「ギリギリ正常」でも、複数が重なると心血管疾患のリスクが大幅に高まります。
- 二次性糖尿病
-
ステロイド薬の長期服用や、膵臓・甲状腺などの病気が原因で血糖値が上がることもあります。他の疾患の治療中に血糖値の異常が見つかった場合は、原因疾患の確認も大切です。
当院の検査・治療
- 血液検査(血糖・HbA1c・インスリン・脂質など)
-
空腹時血糖とHbA1cを基本に、インスリン値・脂質(LDL・HDL・中性脂肪)・腎機能なども含めた総合的な血液検査を行います。糖尿病の診断だけでなく、合併症の早期発見や他のリスク因子の評価も同時に行うことができます。
- 尿検査
-
尿中の糖・タンパクを確認します。尿糖は血糖値が高い状態を示し、尿タンパクは腎臓へのダメージがすでに始まっているサインです。シンプルな検査ですが、見落としのできない情報を教えてくれます。
- 生活習慣の指導・食事・運動療法
-
境界型の段階では、薬に頼らず生活習慣の改善だけで数値が正常化するケースも多くあります。当院では、患者さんの食生活・仕事のリズム・運動習慣などをじっくり伺った上で、実生活に合わせた具体的なアドバイスをしています。「何を食べればいいか」「どんな運動をすればいいか」といったことも、気軽にご相談ください。
- 薬物療法
-
生活習慣の改善だけでは十分なコントロールが難しい場合、経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬などを用いた薬物療法を行います。薬の種類は患者さんの状態・年齢・生活スタイルに合わせて選択し、副作用のモニタリングも含めて定期的にフォローします。
- 専門医療機関への紹介
-
1型糖尿病やインスリン療法が必要な場合、または合併症(腎症・網膜症など)が進行している場合は、専門医療機関へご紹介します。紹介後も、かかりつけ医として日常的な管理を継続してサポートします。
当院へご相談ください
「健診でHbA1cが少し高かったけど、症状がないし……」という方が最も多く来院されるパターンです。そういった方こそ、早めに一度確認しておくことをおすすめします。血糖値の管理は、早く始めるほど選択肢が広く、体への負担も少なくて済みます。
川崎グランハートクリニックでは土日・祝日も毎日診療しており、平日に時間が取りにくい方でも受診しやすい体制を整えています。血液検査は院内で対応しており、結果についてその日のうちにご説明することが可能です。「大きな病院に行くほどのことかどうか迷っている」という方も、まずはお気軽にご来院ください。
生活習慣の改善についても、患者さんのペースに合わせて一緒に考えていきます。「何から始めたらいいかわからない」という方でも、気軽にご相談ください。
