
WPW症候群とは?健康診断で心電図異常を指摘された方へ
健康診断の心電図検査で「WPW症候群の疑い」と指摘され、不安に感じている方も少なくありません。
WPW症候群は聞き慣れない名前ですが、実は心臓の電気信号の通り道に関する先天的な特徴で、ほとんどの場合は深刻な症状を引き起こしません。ただし一部の方では動悸などの不整脈症状が現れ、放置すると危険なケースもあるため注意が必要です。
WPW症候群とは
WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)とは、生まれつき心臓に通常とは別の余分な電気回路(副伝導路)が存在する状態を指します。

通常、心房から心室へ電気信号を伝える経路は房室結節という1本のみですが、WPW症候群では房室結節以外に副伝導路(余分な“抜け道”)が形成されています。この余分な経路により心臓内に異常な電気の回り道が生じ、刺激が通常とは異なる経路で心房と心室を行き来することで、突然の頻脈発作(脈が急に速くなる不整脈)を引き起こすことがあります。
WPW症候群の患者さんは安静時には無症状で経過することが多く、学校検診や職場健診の心電図で偶然発見されるケースもあります。心電図上ではデルタ波やPR間隔短縮、QRS波の延長といった特徴的な所見が現れます。
症状
WPW症候群があっても多くの場合は無症状で、日常生活で異常を自覚することはありません。しかし、副伝導路を介した不整脈発作(発作性上室性頻拍など)が起こると、次のような症状が現れます。

- 急に心臓がドキドキと激しく脈打ち始める
- 発作性の動悸。脈拍が突然150〜200前後に上昇する
- 動悸に伴ってめまいやふらつきを感じる
- 一瞬意識が遠のく(まれに失神することも)
WPWの動悸発作は突然始まり、そして突然止まるのが特徴です。発作自体は基本的に命に直結するものではありませんが、WPW症候群に心房細動などの不整脈が合併すると脈が極端に乱れて心室細動に至り、突然死につながる可能性もあります。
診断法
WPW症候群では、心電図上に特徴的なデルタ波が現れます。このほかPR間隔の短縮やQRS波の延長も典型的な所見です。
こうした異常からWPW症候群が疑われた場合、より詳しく不整脈の有無や心臓の状態を調べる検査を行います。具体的にはホルター心電図(携帯型で24時間の心電図記録)、運動負荷心電図(運動時に不整脈が出ないか確認)などで日常下の不整脈発生や心臓の異常の有無を調べます。さらに必要に応じて心臓電気生理検査を実施し、副伝導路の性質を詳しく評価します。
なお、どの検査を実施するかは症状や診察時の判断によって決定されます。
放置した場合のリスク
WPW症候群単独で致命的な不整脈に陥ることはまれですが、心房細動などを合併すると最悪の場合心室細動による突然死を招く可能性があります。WPW症候群が原因の突然死は極めてまれとはいえゼロではありません。そのため、WPW症候群の疑いを指摘されたまま放置することは危険です。

無症状のWPW症候群では通常、日常生活で特別な運動制限は不要とされています。しかし運動中に動悸やめまいなどの症状が出た場合はただちに運動を中止して安静にし、医師に相談してください。また今後スポーツなど積極的な運動を始める予定がある場合には、事前に担当医に相談してどの程度の運動まで安全か確認しておきましょう。
検査後の流れと医師への相談
健診でWPW症候群を指摘されたら、早めに循環器内科などの専門医を受診しましょう。専門医であれば、心電図に現れた所見が経過観察でよいものかそれとも治療が必要なものかを判断できます。
実際、WPW症候群は症状がなければ定期的な経過観察となるケースが多い一方、動悸発作が起きている場合には薬物療法やカテーテルアブレーションによる治療が検討されます。適切な検査で自身の状態が分かれば、不安も軽減します。
健康診断でWPW症候群を指摘されて不安な方は、自己判断で放置せず専門医に相談して今後の方針を確認してください。
